日程第1、
一般質問を行います。
昨日の会議に引き続き、順次質問を行います。
長野春信議員。(拍手)
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 皆様、おはようございます。自由民主党の
長野春信でございます。
一般質問の最終日となりました。本日は、市民から議員の皆様のもとにも数多く寄せられている
指定樹林の不適切な管理について、これによって迷惑を被る市民がいる事実、ここ一本に絞って実際の
被害状況など実例を交えながら質問をしてまいりたいと思います。
指定樹林について、過去の
一般質問においても多くの議員から質問がありました。
平成に入ってからは、過去13回の
一般質問の場で質問がされており、その質問の多くは、
指定樹林として所有者に支払われている助成金が本当に
指定樹林の保全のために使われているのか。また、助成金だけ支給して、後は所有者がやることだから、その後の状態は市が知るところではない──いわゆる効果測定がされていない、そういうご指摘でありました。
特に、適正に保存するために支給されている助成金であるはずが、その一方で野放しに草ぼうぼう、枝は折れ、強風で倒木している──いわゆるやぶ状態。そのような状態で放置されているような、いわゆる適正管理されていない
指定樹林に対しても助成金が支給されている。そのような不平等を許す税の使い道はしていませんよね、という趣旨のご質問でありました。
この趣旨の質問に対して、市の答弁は、所有者から助成金の請求と併せて提出していただいております
指定樹木等管理状況調書に記載されている内容から、
管理費等の一部に充当されていると判断している。また、
指定樹林の
保存状況については、
航空写真での確認のほか、不定期ではありますが、職員が現地に赴き、
保全状況の把握に努めております、と答弁されていますが、実態は、所有者が提出する調書に記載されている内容をうのみに、現地確認を怠っている実態が見えています。だからこそ、議員である私の元には、様々な地域の方から
指定樹林が適正に管理されていなくて困っているという相談が多く寄せられております。
かれこれ4年前になりますが、市内のある地域に適正管理されていない
指定樹林があり、台風で背の高い伸び切った太い木が折れまして、家を直撃し、ご自宅の屋根──コロニアルと雨どいが破壊されたと、そういう事故がありました。特に夜中の出来事だったので、家が潰されたと思い、雨風強い中、恐怖の中で一晩過ごしましたと居住者の方はおっしゃっていました。その方は、お住まいになる際は自然があふれた環境を気に入って家を買い求めたわけですけれども、購入に際し、
不動産会社からでしょうか、船橋市の
指定樹林であることの説明を受け、市が指定しているならば当然適正な保全もされるのだろうと思って購入されたそうです。この判断は、社会一般的に通常人が持つ行政への信頼と言えます。しかし、あまりにも手入れされない状況が何年も続くので、樹林の手入れをお願いする電話を船橋市にしていたそうです。担当課の回答は、そこは民有地ですので市では手が出せないと、そういうことを延々と説明したそうです。結局、台風が来て、家が壊される事態へと続くわけですが、家が壊された家人は、怒りの電話を市役所にするも、担当課からまた同じことを延々と言われたそうです。
緑地保全に税金が投入されているのに、その緑地の
不適切管理が原因で家が壊されても市は弁償もしてくれない。市民の
生命財産を守るべき船橋市の信頼は崩壊、市への不信感、担当課の対応にはあきれて物も言いたくない。最後に頼れるのは議員とのこと。
さて、このような状況が生じていることは、私が直接現地を見て本人から聞いた話です。まだまだ具体例はたくさんありますので、後ほど1事例として引用していきますが、この件も含め、市の適正管理されていない
指定樹林への対応は、民有地ですので所有者にお願いするほかありませんという対応を今も続けています。必要以上のことには手を差し伸べないというよりも、
担当部課長の言葉を借りれば、手を差し伸べることはできないとするこの1つの具体例を聞いて、まずは広い知見をお持ちの
建設局長のご見解を伺いたいと思います。
[
建設局長登壇]
◎
建設局長(
鈴木武彦) お答えいたします。
まず、船橋市の緑でございますが、市北部に比較的まとまった緑地、そして
都市公園がある一方、市の南西部では都市化が進みまして、残された緑地の多くは河川の周辺にある斜面に多いという状況になってございまして、その保全は非常に肝要であると考えております。
樹木等の
保全保存でございますが、
都市緑地法や、あるいはいわゆる
樹木保存法等によって、国の制度によって必要とされているとともに、その中で
特別緑地や
保全地区や
保存樹木、このような各種制度によってその推進が望まれているものでございます。
船橋市でございますが、船橋市緑の保存と緑化の推進に関する条例、これによりまして、健全な樹木の保全を行う
指定樹林制度、これを設けて
指定樹林の所有者に対して樹林の保全等に要する費用の一部、これを助成しているところでございます。
議員のご指摘のございました
指定樹林の対応でございますけれども、その所有者へ本条例の意図を酌んでいただくべく、一層努力をしていくことが必要と感じているところでございます。
以上でございます。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 この適正な管理がされていない
指定樹林について、平成23年の
一般質問で、同じように市民から相談を受けたと思われる
先番議員より、
指定樹林、樹木の所有者がきちんと保全をしないなら罰則を与えるべきといったご趣旨の発言がされていました。その際の答弁は、条例に
罰則規定はございませんといった、条文内容についての質問にすり替えた答弁がされていました。住民の代表であり、選挙で選ばれてここに立つ議員は、条例を確認せず聞きかじった話をしてるわけではなく、直接市民から呼ばれて、現地を見て、悩みを聞いて、それを集約して質問をしているわけです。おのずとその質問の趣旨は、
罰則規定を与えるくらいしっかり市が管理監督してほしい、また、現に被害を被る市民の財産と生命の安全安心に市が積極的に関与し、その害を振り払ってほしいということだということは、当然推察されたわけです。このような答弁は自治体の責務を放棄しています。
以前の
一般質問の場で、私は自治体の役割についてこう申しました。民間が手をつけるようなことは民間に任せておけばいい、放っておいたら誰も手をつけないところに自治体の役割があると。これは、近年地方分権が進み、明治維新から始まった
中央集権体制、市民を統治する自治体という考えから市民が統治する自治体へと意識・考えが変わったからです。人々の意識が多様化することは、成熟社会を迎えた帰結です。移行期のはざまにいる私たちや
自治体職員は戸惑うかもしれませんけれども、今どの大学でも大学院でも、自治体の役割を問われたらそのように教えており、今や常識化しています。この視点で条例を整備した例は船橋市にもあります。例えば、船橋市
環境共生まちづくり条例が挙げられます。この条例は、
建築基準法だけではカバーし切れない市民の安心に手を差し伸べた条例です。この視点に立たないと、市民に対する裁判官のような姿勢となり、市民を統治するという考えが表面化します。そうではなくて、市民の
生命財産をどうしたら守ることができるようになるのか、どうしたら被害を排除できるのか、これを考え続け、さらに住みやすい町にしていくことが自治体に求められています。これを忘れたら、自治体の
存在意義を問われます。
さらに、平成23年
一般質問答弁には、市民からの要望、苦情もあることから、他市の事例も参考にどのような方法が取れるか研究してまいります、と答弁されています。あれから9年、船橋市の研究結果をお尋ねいたします。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
市川市、松戸市などの近隣8市で構成されます千葉県
北西部公園緑地行政連絡会議において、
指定樹林制度に類する各市の
取組状況として、
指定要件、助成、
改善要望対応のほか、樹林の
管理費用分担等について照会及び聞き取り等を行いましたが、本市と同様の課題として、
隣接住民等の抱える不安要素と
土地所有者の抱える課題が議論されました。有効な方向性は示すまでに至っておりません。
現在も同会議の中で議題としておりますが、効果的な対応策が示されていないことから、
樹林所有者の方々に、
樹林管理について適正に管理いただけるようお願いをしているところでございます。
以上でございます。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 後ほど他の自治体の市民の立場に立った解決事例というものをご紹介しますけれども、結局は、日本全国の事例を調査することなく真剣に取り組んでこなかった結果が、今日の事故を招いたんじゃないですか。平成20年11月の
決算特別委員会の場において、議員より
指定樹木等管理状況調書に対して市に出している調書と現状が違うのではないかという意見があるので、今後は十分その
管理実態について徹底すべきであると、そういった趣旨のご質問がありました。あれから12年、今もまだ
管理実態が現状とは違う、そういった事例の2つ目を紹介したいと思います。
この事例では、
指定樹林内の松の木が伸び過ぎて、隣接する家の屋根上空はるか高くまで伸びてしまったというものがあります。家の屋根は松や葉っぱで覆われ、雨どいは詰まってしまって機能していない。虫が湧き、衛生的によろしくないと町会内でも問題になり、周辺の住民が市役所に電話をしたそうです。
市はすぐ現地を見に来てくれたそうです。しかしながら、民有地なので無理ですという結果だったそうです。
この松の木が倒れたり、折れたりしたら家が壊れると思う
周辺住民は、その所有者を調べ、直接足を運び、切ってほしいとお願いに行ったそうです。その所有者には、結局は聞き入れてもらえなかったとのことでした。町会長が困り果てて、私の元へ相談に来たというわけです。
後日、担当課は所有者と話をしたそうですが、所有者からは、私どもが所有する
指定樹林にはこのような状況の場所はたくさんある。実害がない以上は対応しない。家を壊すようなことがあれば、そのときは相対で弁償すると、そういった話で終わったと報告をいただきました。
しかし、このやり取り、何かおかしいと感じませんか。議員の皆さん、これを市民に説明してご納得いただけると思いますか。家を壊してほしくないから、家族がけがをしてからでは遅いから、家が壊れてからでは遅いから、間近に迫る危機を排除してほしいんじゃないんでしょうか。壊れたら弁償しますとか、例えば、けがしたら入院費払いますとか、そんな態度では何も解決していない。
住民相互の対立をあおっただけにすぎない。
さて、今の事例でもお分かりのように、市は市民の
生命財産に危険が生じるまで気づかず、
管理実態の把握をないがしろにしてきたのは、これまた事実です。
ここで私が疑問に思うのは、なぜ担当課は
指定樹木等管理状況調書と現状が違うことに何ら違和感を覚えなかったんですか。恐らく違和感はあった。しかし、そこには理由があって、目をつぶらざるを得なかったんでしょうか。12年も前から懸案事項として指摘されていたにもかかわらずです。理由を教えてください。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
指定樹林等の
管理状況につきましては、職員により
危険箇所を抽出し、不定期ではありますが、
パトロール等を実施しているほか、
土地所有者から
指定樹木等管理状況調書を提出していただいた上で
実態把握に努めております。
指定樹林の隣接者の求める
管理水準と
土地所有者が実施できる
管理水準には乖離が生じており、その結果として、隣接者の満足のいく措置が図れていない箇所が存在しております。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員
指定樹林の隣接者の求める
管理水準と
土地所有者が実施できる
管理水準は違うんだという答弁でした。
船橋市緑の保存と緑化の推進に関する条例第1条には目的が記載されています。「良好な自然環境を維持し、もって市民の健康で快適な
生活環境を確保する」と明記されています。市民の家を壊している状況は、市民の健康で快適な
生活環境を確保することには反しており、
条例違反を放置することは市の
法令遵守違反でもあります。
指定樹林の隣接者の求める
管理水準と
土地所有者が実施できる
管理水準が違うことで
法令遵守違反が生じたことについて、ご見解をお聞かせください。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
船橋市緑の保存と緑化の推進に関する条例につきまして、都市に残された緑地を適切に保存することを目的として、都市化により新しく居住された方々と緑地を所有されている方々と調和の取れた
まちづくりを基本とされており、都市の緑地を保全することで、
集中豪雨等における崖崩れの抑止や雨水の急激な流出の抑制等の効果が図れる一方、これまで議員よりご紹介いただいた台風時における枝折れ、枯損木による
落下危険等の課題が存在することから、共生できる個々の事案について、きめ細かく対応を図れていない状況でございます。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 同条例の第3条、こちらには市長の責務が明記されています。ここには、「市長は、緑の保存及び緑化の推進に関する総合的な施策を策定し、これの実施に努めなければならない」とありますけれども、この総合的な施策の経緯、そして効果、現在の議論はどのようになっていますか。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
保全に関しての総合的な施策につきましては、船橋市緑の基本計画や整備・開発・保全の方針に基づく都市の緑の保全を目的として、
指定樹林制度、市民の森、開発行為による
緑地保全指導などに努めておりますが、本市は昭和40年代より都市化が進み、緑被率についても16年前に比べて40ヘクタール以上減少しております。
そのような状況を踏まえ、平成29年度より
緑化推進委員会を設置し、
緑地保全対策などについてご議論をいただき、本市における
保全対策の在り方の整理を進めております。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 同条例第14条には、「条例の趣旨に違反する行為があったときは、既に交付した助成金の返還を命ずるものとする」とあります。この条例の趣旨とはどのような趣旨だと認識していますか。市民からの陳情をお聞きすれば、条例の趣旨に違反する行為があると
一般的常識の見地から思うわけですが、現在まで返還を命じたことがありますか。恐らくないと思います。なら、返還を命じていない理由をお答えください。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
条例の趣旨に反する行為につきましては、
指定樹林が長年放置されており、全く管理されていないことが確認された場合等が返還に該当すると認識しております。
しかし、一方で、
指定樹林の隣接者の求める管理が常にされていない場合であっても、
土地所有者により樹木の剪定等を行った形跡があれば、返還には至らないものもあると認識しております。
助成金は、
指定樹木等の所有者に対し保全等に要する費用の一部を助成するものとしていることから、
土地所有者の都合で複数年にわたり計画的に管理を行っていくことで考えており、これまで返還を求めた事例はございません。
返還を命じていない理由でございますが、長い期間にわたり管理を放棄されている場合は、
指定樹林としての指定を解除することや、
土地所有者による樹木の伐採等が実施されたことで指定の要件が消滅した場合のほか、
土地所有者による
指定樹木等を保全することは困難である等の理由で解除されたケースとなり、返還を命じる前に
指定樹林ではなくなることや、保全に要する費用を助成していることから、一部でも管理していれば解除の事由に当たらないと考えております。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 なるほど、
指定樹林の隣接者の求める管理が常にされていない場合であっても、
土地所有者により樹木の剪定等行った形跡が多少なりともあれば返還を命じられないという答弁でした。
不適切な樹林がどうして助成金をもらいながらも堂々とはびこるのか、今の答弁で分かりました。ここが原因の根本です。
全く管理されていない樹林ならば返還請求できるが、枝を数本払ったら管理されている樹林となり返還請求できない。これが税金の使い道として正しいとお思いでしょうか。このような条例運用、解釈、判断は行政裁量として正しいのか。こちらは局長にお尋ねしたいと思います。
[
建設局長登壇]
◎
建設局長(
鈴木武彦) お答えいたします。
指定樹林に関する管理につきましては、枝葉の越境、そして枯損木の撤去などのほか、樹林の保全が図れる
下草刈り、このようなものなどが実施されることで一定の管理がされているものと判断をしておりまして、このような管理を行っている
指定樹林に対して助成をしているものでございます。
しかしながら、
指定樹林の中でこの一定の管理の水準に及ばないもの、これがございましたら、適切な管理をしていただくよう
土地所有者に対してお願いをしているところでございます。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 枝葉の越境や枯損木の撤去のほか、樹林の保全が図れる
下草刈りなどの実施がされていることで一定の管理がされているものと判断しており、このような管理を行っている
指定樹林に対して助成しているものでございますと、今そのようなご答弁でした。枝葉の越境や枯損木の撤去のほか、樹林の保全が図れる
下草刈りなどが実施されていないものは返還請求の対象ということが分かりました。
また、一定の
管理水準という言葉が出ました。一定の
管理水準とは、また曖昧な用語です。この一定の
管理水準、これは今後検討すべきかと思います。
平成19年の
一般質問でも、
先番議員より
指定樹林地も指定のしっ放しになっていないか。補助金を出しているのだから、森や林は間伐や清掃などの管理がされなければただのやぶでしかなく、ごみの不法投棄や犯罪の温床になりかねないとの指摘があり、
指定樹林の管理について公的な支援による専門のアドバイザーを派遣する、あるいは
市民ボランティアやNPOとの協働による
維持管理をあっせんするなど、貴重な財産を健全に次世代に継承していくために、市民の理解とその
存在意義を得られるよう、積極的な指導と管理をしていくべきであると、そのようなご質問があり、今後の取組、
改善対応を尋ねられておりました。
その際の答弁で、既に
市民ボランティア団体や
NPO法人などにより
指定樹林の一部で実施しています。今後も良好な緑地として保全されるよう働きかけていきたいと、そのようにお答えになっています。
あれから13年、現在指定数141件、91万8048平米の
指定樹林となりましたが、適正管理されていない
指定樹林が多数あるからこそ、私の元にも、また、ここにいる議員の元にも数多くの相談が寄せられているわけです。この
市民ボランティア団体や
NPO法人などで、現在適正管理されている
指定樹林の具体例を教えてください。担当課によると、さきの所有者の話合いでも分かるように、所有者によっては相談もできない、働きかけもできない所もあると聞いていますが、そのような
指定樹林の所有者は
市民ボランティア団体や
NPO法人などを活用した
維持管理についてまで否定されてるという認識でよろしいでしょうか。
というより、この4年間、担当課と打合せをしてきましたけれども、このような
市民ボランティア団体や
NPO法人の活用については一切言及されたことがありませんでした。それはなぜでしょうか。
[
都市整備部長登壇]
◎
都市整備部長(
竹田光伸) お答えいたします。
市民ボランティア団体や
NPO法人で適正に管理されている
指定樹林の具体例でございますが、毎年
指定樹林等の所有者から提出されます、
指定樹木等管理状況調書の
樹木管理においての回答では、本市北部のまとまった面積のある樹林地において、3団体実施されているものと理解しております。
市民ボランティア団体や
NPO法人の活用については、
北部地区を管理している団体に聞き取りした際、ある程度の平地であり団体の
管理手法に合致しているか、また、まとまった面積で車両が入れなければ対応が難しいと聞いておりましたので、今回の事例箇所である斜面地においては難しいものと考えておりました。
しかし、今後改めて
市民ボランティア団体や
NPO法人に管理の可能性について協力を働きかけ、
指定樹林等の所有者へ適正な
維持管理をしていただくよう、アドバイスも含め、粘り強くお願いしてまいりたいと考えております。
以上です。
[
長野春信議員登壇]
◆
長野春信 議員 ただいまの答弁で、
市民ボランティア団体や
NPO法人とは、市は、直接はつながっていないということは分かりました。平成19年の答弁では、いかにも
市民ボランティアやNPOと協働しているような、そんな口ぶりでしたので、私なりに直接そのような
ボランティア団体に聞いてみましたが、その方は、所有者が高齢で動けないし、造園屋を入れる費用もないからと直接所有者から頼まれることはあっても、市から協力を依頼されることなどないと言っていました。ましてや、答弁にあったように、既に
市民ボランティア団体や
NPO法人などにより
指定樹林の一部で実施していますと、そういった実態はありませんでした。良好な緑地として保全されるように働きかけていきたいと答弁されてからの13年間は何だったんでしょうか。
平成14年第4回
定例会一般質問では、
先番議員より定期的に
状況確認を行う方法を問われた件で、
指定樹林等の
分布状況により市内をエリア分けし、これにより全ての
指定樹林、
指定樹木、生け垣について、最低でも年1回は
現況確認を行ってまいります、と答弁されていました。
あれから18年。残念ながら答弁に反して年1回の
現況確認はなされず、今は
航空写真で眺める程度でしょうか。当たり前ですが、上から見ても
被害状況など分かるわけはありません。
管理実態が徹底されず、良好な緑地として保全できていない現状は、さきに述べた2つの具体例から明らかですが、さらにもう1つ──3つ目の事例をご紹介します。
新しく20棟ほど開発分譲された区域内に崖を背負った道路があり、行き止まりの
位置指定道路であることから、地域の子供たちが車両の往来が少ないから安全だということで道路上で遊んでいたそうです。すると、崖上の
指定樹林からごろごろと腐って折れた枝が落下してきたり、腐って放置された木が突然落下してきて大変怖かった、危なかったと、そういった事例がありました。
今まで申し上げました事例からも分かるように、このような適正管理されていない
指定樹林には、いよいよ次のステップに移行せざるを得ないんじゃないかと思います。
考えられるのは、行政代執行です。行政代執行法第2条、法律──これは条例も含みます。これにより、直接に命ぜられ、または法律に基づき行政庁により命ぜられた行為について、義務者がこれを履行しない場合、他の手段によってその履行を確保することが困難であり、かつその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときと、そのように条件が定められております。これを構成要件に分解すると、@他の手段によってその履行を確保することが困難であること、Aその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき──この2つに分解できます。@の要件を検討するに、他の手段とは、実はやっていないことは分かってしまいましたが、
樹林所有者への伐採指導や
市民ボランティア団体、
NPO法人などを活用した指導が挙げられています。また、
不適切管理が続く所有者には適正管理をお願いするといった、これは現にやっている行政指導というものがあります。しかし、さきに述べたとおり、行政指導の効果がない所有者もいることもこれまた事実であると、@の要件を満たすことになります。
続いて、Aの要件を検討するに、1つ目の事例で申し上げた家屋が破壊された状況や、2つ目の事例で申し上げた屋根の上空高く伸びた松の倒壊の危険や衛生面、さらには3つ目に述べた子供への危険は、公益に反することは言うまでもありません。よって、構成要件を充足し、かつ比例原則に反していませんので、いわゆる空き家条例、放置空き家の行政代執行のように、条例を整備すれば対応することは可能です。
また、昭和59年
一般質問においても、適正管理されていない
指定樹林の問題が質問されています。適正管理されていない
指定樹林が顕在化してから36年、もう逃げずにこの問題に面と向かって取り組むべきだと思います。
担当課では研究も進まないようですので、私から他市の取組事例を紹介します。
指定樹林の
不適切管理が問題になるのは、都市部だからです。新宿区では、保護樹木等の枝が折れたために通行人にけがを負わせた場合や、倒木によって隣接家屋の一部を損壊させた場合などは、区が加入する保険の対象となります。その上限値は、対人賠償が1名5000万、1事故2億円。対物賠償は1事故5000万円です。さらに、新宿区では、強風等によって保護樹林が倒れたり枝折れがした場合は、所有者に代わり、区が処理を支援します。また、老木や巨木については、枯損木や倒木による事故を未然に防ぐために、樹木医による診断や剪定を行っています。また、保護樹林などを対象に、袋詰めの落ち葉の回収を区が行います。
このように、区が積極的に樹林の確保と
周辺住民との共生を図っています。既に家屋が破壊される事態が起きていますので、そんな場合にまで市は対応できません。所有者と相対にやってください。果ては、民事裁判で頑張ってくださいというような対応を市民に対してするのは問題がありますので、検討されたらいかがでしょうか。お尋ねします。
行政代執行の判断は、行政庁の判断に委ねられています。市民の財産に強制的に手をつけることはやりたくない。これは十分、分かります。法の定めがない現状ですので、局長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
[
建設局長登壇]
◎
建設局長(
鈴木武彦) お答えいたします。
これまで議員よりご紹介いただいた、
指定樹林に隣接し居住されてる方々の適切な管理のご要望、そして緑地を所有されてる方々により、おのおのの意見や生活に求める安全対策、このようなものにつきましては、市としてどのように関わっていくか、難しい課題だと捉えてございます。
そのような状況におきまして、空き家条例や放置空き家で行う行政代執行、これとは一部異なる観点で
緑地保全という側面が今回はございますことから、違った形でソフトランディングができることが肝要かと考えているところでございます。